(日本記号学会共催)研究会
「声の交通/コミュニケーション
メディア社会学×言語人類学」
日時:2025年10月25日(土) 14時~17時
場所:鹿児島大学 法文学部2号館 ラーニングコモンズ2
詳細 ☞ https://cotoami.kadai-houbun.jp/topics/518/
【申込不要・参加無料】
(懇親会は要申込=10/22まで ※添付フライヤー参照)
パネリスト:
福永健一(四国学院大学)「メディアに媒介された音声についての考察——米国の初期ラジオ放送を事例に」
野澤俊介(北海道大学)「「声かけ」の魔術:接触の記号イデオロギー」
問題提起:
太田純貴(鹿児島大学)「Voicescape?──もしくは声と文化についての覚書」
秋吉康晴(鹿児島大学)「声はどこから届くのか ——あいまいな差出人」
討論者:
高野照司(北星学園大)
片岡邦好(愛知大学)
概要:
「コミュニケーション」という語は本来「交通」に由来し、出発地・経路・目的地が明確な伝達モデルを前提としてきた。その延長線上に「通信」という現代的な意味も位置づけられる。
しかし現代社会において、声のやり取りは著しく複雑化している。社会の流動化やメディア環境の多様化によって、声が誰から誰へ届くのか、どのような経路を通るのかを事前に確定することは困難である。送り手の正体も受け手の正体も曖昧であり、想定外の理解や
誤解が生成される状況が日常化している。このことは、なりすましやフェイクニュースの拡散といったリスクを生み出す一方で、VTuberや声優文化といった新しい表現や娯楽の基盤ともなっている。声の「交通」が孕む両義性は、同時にその政治性を問う契機となる。
本研究会は、声の伝達を「交通」として捉え直すことを通じ、その変容と社会的含意を考察する場である。メディア社会学と言語人類学の交差点に立ち、今日の声の政治性を検討する。