日本記号学会第45回大会
繭の記号論── 技術をめぐる
倫理・芸術・哲学
倫理・芸術・哲学
2025年7月5日(土)・6日(日)
- 今大会でも、会員とともに非学会員からも研究発表を募集しています。
詳細・応募【2025年5月16日(金) 24時[JST] まで】については、こちらをご覧ください。
(学会員による研究発表についても、引き続き 4月30日(火) 応募締切 で募集しております。
詳細はこちらをご確認ください。) - 今大会の会期中、IAMASのギャラリーにて大会テーマに関連するアート作品の展示を行います。
「IAMAS ARTIST FILE #10 繭/COCOON 技術から思考するエコロジー」(2025.01.10-03.09、岐阜) および「石に話すことを教える」(2025.03.15-03.30、京都) より出展作品の一部を再展示するほか、会員の皆さんからの作品出展も募集します。詳細・応募については、こちらをご覧ください。
開催にあたって
大会実行委員長:大久保 美紀(IAMAS)
概要
日本記号学会第45回大会では「繭の記号論」と題して、「技術」をめぐる問いを「倫理」「芸術」「哲学」という三つの観点から議論します。「技術」をテクノロジーの側面からだけでなく、テクネーや芸術を含むアート、また西洋近代技術の枠組みでは捉えきれない多元的なものとして再認識する契機となれば幸いです。
「繭」はE.コッチャによれば「生まれた後の卵」であり、近代以降の技術観を転覆させる脱人間的な新しい技術への視座の足がかりとなります。B.スティグレールの技術論にインスピレーションを受けた小説家A.ダマジオは現代世界の状況をTechno-Cocon(テクノロジーの繭)と表現しました。「繭」は、絹織物産業を支える養蚕業を通じて、昆虫の技術が人間の技術と結びついて文明があることを確認させてくれます。「繭」を切り口として技術を問うことで、私たちは技術を新たに考えることができるに違いありません。
技術をめぐる倫理・芸術・哲学
今日の世界では、人工知能の台頭に言及するまでもなく、技術の道徳性が喫緊の問いであるにもかかわらず、この問題は十分に議論されていません。技術は私たちを助け、癒し、繋ぐというケアの役割を担うと同時に、私たちの道徳的判断に深く介入しているのです。
そして、技術としての芸術をいかに考えるかという問題も重要です。本大会の会場である情報科学芸術大学院大学[IAMAS]は科学的知性と芸術的感性の融合を建学理念に掲げ、最新の科学技術を吸収する先端的な芸術表現に取り組んできました。一方、メディアアートをめぐる状況は大きく変化し、一つの転機というべき局面を迎えています。芸術は伝統的に人間に固有の表現と考えられてきましたが、それは同時にエコロジカルな視座を私たちに与えてくれます。メディアアート、AIによるアート、バイオアートの実践は、技術について新たな考えを私たちにもたらすのでしょうか。
最後に、先端技術の発展は人間と機械をめぐる議論を精緻化させました。一般器官学、セカンドオーダー・サイバネティクス、ポスト現象学、アクターネットワーク理論といった、異なる学問領域を越境する議論を踏まえて考察することによって、そこには新しい技術哲学が創発されつつあるように思われます。ユクスキュル、ハイデガー、スローターダイクらの提示する世界モデルの本質にある技術理解を再検討するとともに、コッチャの「繭」概念を新たな文脈へと接続する可能性を検討します。
開催にあたって
大会実行委員長:
大久保 美紀(IAMAS)
概要
日本記号学会第45回大会では「繭の記号論」と題して、「技術」をめぐる問いを「倫理」「芸術」「哲学」という三つの観点から議論します。「技術」をテクノロジーの側面からだけでなく、テクネーや芸術を含むアート、また西洋近代技術の枠組みでは捉えきれない多元的なものとして再認識する契機となれば幸いです。
「繭」はE.コッチャによれば「生まれた後の卵」であり、近代以降の技術観を転覆させる脱人間的な新しい技術への視座の足がかりとなります。B.スティグレールの技術論にインスピレーションを受けた小説家A.ダマジオは現代世界の状況をTechno-Cocon(テクノロジーの繭)と表現しました。「繭」は、絹織物産業を支える養蚕業を通じて、昆虫の技術が人間の技術と結びついて文明があることを確認させてくれます。「繭」を切り口として技術を問うことで、私たちは技術を新たに考えることができるに違いありません。
技術をめぐる倫理・芸術・哲学
今日の世界では、人工知能の台頭に言及するまでもなく、技術の道徳性が喫緊の問いであるにもかかわらず、この問題は十分に議論されていません。技術は私たちを助け、癒し、繋ぐというケアの役割を担うと同時に、私たちの道徳的判断に深く介入しているのです。
そして、技術としての芸術をいかに考えるかという問題も重要です。本大会の会場である情報科学芸術大学院大学[IAMAS]は科学的知性と芸術的感性の融合を建学理念に掲げ、最新の科学技術を吸収する先端的な芸術表現に取り組んできました。一方、メディアアートをめぐる状況は大きく変化し、一つの転機というべき局面を迎えています。芸術は伝統的に人間に固有の表現と考えられてきましたが、それは同時にエコロジカルな視座を私たちに与えてくれます。メディアアート、AIによるアート、バイオアートの実践は、技術について新たな考えを私たちにもたらすのでしょうか。
最後に、先端技術の発展は人間と機械をめぐる議論を精緻化させました。一般器官学、セカンドオーダー・サイバネティクス、ポスト現象学、アクターネットワーク理論といった、異なる学問領域を越境する議論を踏まえて考察することによって、そこには新しい技術哲学が創発されつつあるように思われます。ユクスキュル、ハイデガー、スローターダイクらの提示する世界モデルの本質にある技術理解を再検討するとともに、コッチャの「繭」概念を新たな文脈へと接続する可能性を検討します。
- 企画セッション(予定)
- 繭のエティカ:テクノロジーとケア、ヒューマニズム
・金山 智子(IAMAS)
・久木田 水生(名古屋大学)
・秋庭 史典(名古屋大学) - 繭のアルス:先端技術とメディアアートの行方
・石橋 友也(IAMAS)
・小林 茂(IAMAS)
・原島 大輔(立教大学)
・植田 憲司(京都経済短期大学) - 繭のソフィア:混合、共感、転生の哲学
・吉岡 洋(京都芸術大学)
・大久保 美紀(IAMAS)
- 繭のエティカ:テクノロジーとケア、ヒューマニズム
- 研究発表
学会員および非学会員による研究発表(分科会) :大会1日目(7/5)および2日目(7/6)※発表内容は大会テーマに関連したものに限りません