仮面を考えることは顔(表情)を考えることであり、人間とは何かを考えることである。
コロナ禍のなかで溢れかえったマスク体験、日本の伝統芸能における能面(オモテ)の意味論、哲学における仮面と素顔・ペルソナの問題、マンガやドラマにおける覆面の表現、記号的な意味の創発をめぐる情報学・システム論の取り組みなどから、記号としての仮面/マスクをとおして見えてくる「いま」という時代を多面的に考える。
【主要目次】
- 刊行によせて(水島久光)
- はじめに なぜ「仮面の時代」なのか――その主題と構成について(水島久光)
- 第I部 能面を解題する
- ディスカッション 能面と中間表情をめぐって(加藤眞悟・小田原のどか・司会:水島久光)
- ディスカッションを終えて――「離見の見」(加藤眞悟・小田原のどか・水島久光)
- 第II部 仮面と顔、その温故知新
- マスクの記号論――仮面、覆面、猿轡(吉岡洋)
- 廣松渉の表情論再考(檜垣立哉)
- 仮面の問い、再び――過去と未来の「中間」に立つ(水島久光)
- 第III部 ポピュラーカルチャーの「仮面性」
- 拡散する顔と過剰化する表情――マンガ/TVドラマ論からのアプローチ(前川修)
- 夏目房之介「マンガの概念と「記号」表現」(構成:佐藤守弘)
- 「模写」と「顔」――夏目房之助「マンガの概念と「記号」表現」へのコメント(竹内美帆)
- テレビドラマとマスク――『俺の家の話』を中心に(岡室美奈子)
- 仮面と声――口と声との不一致がもたらすもの(細馬宏通)
- 第IV部 ロボティクスと心――情報技術・システム論からのアプローチ
- 導入 仮面と解釈、そしてAI・ロボットからの視点(椋本輔)
- 記号創発ロボティクスと集合的予測符号化――セミオーシスへの構成論的アプローチ(谷口忠大)
- パース思想とAI・ロボティクス――マルチスピーシーズ記号創発システムの構想(加藤隆文)
- セッションをふりかえって 学際的コミュニケーションの創発――他者をいかに認識するか(椋本輔)
- おわりに 記号を論じる「場=トポス」について(水島久光)
- 資料 日本記号学会 第四三回大会
- 編集後記(松本健太郎)
- 執筆者紹介
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A5判・200頁 定価:本体3,200円+税
発売日 2024.12.5
ISBN 978-4-7885-1864-3
新曜社
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