記号学会分科会:「運ぶ」ものとしてのヴィークル概念
第一回研究会「アニメ、アニマ、アニメーション」
当分科会は、記号学の特殊ないしは発展的研究として「ヴィークル学」を提案するものである。周知の通り、記号は意味を媒介する。その一方で、「運ぶ」の意のラテン語vehoに由来するヴィークル(vehicle)は、「媒介者」あるいは「乗り物」を意味する。わたしたちは記号を「ヴィークル」と読み替えることによって、記号の持つ「運ぶ」機能を浮き彫りにすることができるだろう。そのような機能が、現代・過去の様々な社会・文化現象と交差するとき、「ヴィークル学」は記号学に発展的な寄与をもたらすのではないだろうか。
「運ぶ」ものとしてのヴィークル概念第一回研究会では、なかでもアニメーションという観点に着目する。この言葉からは現在、活発な議論を呼ぶ表現形式としての「アニメ」のみならず、映像文化における「アニメーション」メディアそのものの考察、さらには「アニマ(魂、精神)」という元来の含意を踏まえた記号学的考察へと議論を展開することもできる。「アニメーション」と「運ぶ」という観点を接続するとき、ヴィークル概念が何を乗せ、媒介し、変容することになるのか。あるいは、ヴィークル概念そのものが変容することになるのか。本研究会では、このように多様な方向へと分化するヴィークルが私たちをどこまで「運んで」くれるのかを展望したい。
日時:8月24日(土)14:00-
場所:京都大学文学部(新館第二演習室)
プログラム:
14:00趣旨説明
14:10発表1「変容する軌跡――静止と運動の間のアニメ」
湯浅恵理子(神戸大学人文学研究科)
14:50発表2「表象ヴィークルの「運ぶ」もの」
加藤隆文(日本学術振興会/京都大学)
15:30発表3「生物(学)とアニメーション」
増田展大(日本学術振興会/早稲田大学)
16:20討議(司会:松谷容作)