「セミオトポス再訪」(第2回)/「情報技術とプラグマティズム」合同研究会
「写植技術の記号論――阿部卓也『杉浦康平と写植の時代』をめぐって」
日時:2024年6月7日(金) 19:00 – 20:30[予定・若干延長有]
開催形態:オンラインセッション(Zoom予定)
参加方法:(⇒文末)
「セミオトポス再訪」研究会の第2回は、「情報技術とプラグマティズム研究会」との合同企画として、オンラインセッション「写植技術の記号論――阿部卓也『杉浦康平と写植の時代』をめぐって」を開催します。
去る3月に開催した第1回「メシの記号論 revisited —— ひとりめしとコンビニ」 は、2018年の第38回大会およびそれを元にした叢書セミオトポスへと「再訪」し、さらに発展した議論が展開されましたが、今回は2014年の第34回大会とセミオトポスに関連した企画となります。
記号学会会員の阿部卓也氏は、昨年3月に単著『杉浦康平と写植の時代――光学技術と日本語のデザイン』(慶應義塾大学出版会) を上梓しました。写植という知られざる印字テクノロジーの実相について、丹念な調査と関係者へのインタビューを通して迫り、記号技術と社会と人間の交錯を描いた同書は、第45回 サントリー学芸賞(社会・風俗部門)および第77回 毎日出版文化賞特別賞、そして第45回 日本出版学会賞(2023年度)を受賞し、またその書籍デザインが東京TDC賞2024(Editorial/Book Designカテゴリー)に入選するなど、様々な面で高い評価を得ています。
ところで、同書のルーツのひとつは、日本記号学会にあると言えます。阿部氏は、日本記号学会第34回大会「ハイブリッド・リーディング――紙と電子の融合がもたらす〈新しい文字学の地平〉」 の組織運営に関わり、杉浦康平氏をゲストに招いたセッションをコーディネイトしました。また同大会を書籍化した叢書セミオトポス11『ハイブリッド・リーディング――新しい読書と文字学』 では責任編集を務め、のちの書籍へとつながる論考も寄せています。
そのような理由から、『杉浦康平と写植の時代』では、記号とテクノロジーの問題が、全体を貫く問いの基調、見えざる地下水脈となっています。しかし同書は、すでに多くの書評で取り上げられながらも、記号をめぐる問いという観点からは、まだ十分に論じられていません。そこで今回のセッションでは、セミオトポス再訪として、阿部卓也氏にご参加いただき、同書に潜む記号の問いをめぐって議論していきます。同時に、阿部氏はデザイナーでもあり、同書の執筆・デザイン過程では、いま学術書籍を出版するという行為への、非常に自覚的なアプローチが見受けられます。このセッションでは、そうした知識流通のプラグマティズムおよびプラグマティクス(語用論)という観点も含め、同書をめぐって議論していきたいと思っています。
(『大学出版』133号 / 慶應義塾大学出版会|note)
【タイムテーブル】
19:00 – 19:10 趣旨説明(谷島貫太)
19:10 – 19:50 報告(阿部卓也)
19:50 – 20:00 論点提起(谷島)
20:00 – 20:30 ディスカッション
報告者:阿部卓也(愛知淑徳大学)
コーディネーター/論点提起:谷島貫太(二松学舎大学)
https://forms.gle/tnxVKEWC42u5te5L9
日本記号学会 企画委員会 / 情報技術とプラグマティズム研究会
(共同幹事:加藤隆文・谷島貫太・椋本輔)