清々しい初夏の日差しを感じる季節となりました。
みなさま、いかがお過ごしでしょうか。さて、この度新たに選出されました理事の互選により、私、水島久光がこの先3年の任期で日本記号学会の会長を務めさせていただくこととなりました。どうかよろしくお願いいたします。
日本記号学会は1980年に設立されましたので、既に40余年の歴史を刻んでおります。本来ならば一昨年に何らかの記念行事を催すべきところでしたが、コロナ禍により断念せざるを得ませんでした。それでも2020年、2021年の二回の大会は各々の実行委員会の献身的な努力で対面会場(京都、福岡)と世界をつなぐハイブリッド開催が実現しました。「生命」という刺激的なテーマとともに、様々な記号現象をめぐる環境変化を実感するここ数年であったと言えます。
とはいえ、コロナ禍に止まらず、様々な学会をとりまく厳しい状況によって、安定的な活動と組織の基盤が揺らいでいることは事実です。まずそのことを直視し、前会長から課題と理念を受け継ぎ、学会本来の姿である「会員相互の協力によって、記号に関する一般的研究の推進と開かれた交流を図る」機能の再生、あるいは知のコミュニティとしての新たなデザインについて、みなさまにご提案し、ご協力をたまわり、運営をしていきたいと考えています。
ちょうどこの5月末に、長らくお待たせしておりました『叢書セミオトポス16 アニメ的人間 - インデックスからアニメーションへ』が出来上がりました。今回は、約2年の発行間隔が空き、また同テーマの大会から3年の時間を経てしまったことのお詫びの意味も含め、現在会員名簿にお名前が記載されている方全員にお送りいたします。年度内に2020年、2021年大会の内容を踏まえた「生命」をテーマとした40周年記念号(合併号)の発行も予定しています。この出版スケジュールの正規化への取り組みを皮切りに、学会の活性化を図る施策を次々検討しております。そのためには財政基盤の確立が不可欠です。ぜひみなさまのご協力をたまわりたく、お願い申し上げます。
2年間、ハイブリッドで開催しました大会も、今年度の第42回はいまのところ全面対面で、大阪茨木の追手門学院大学にて9月17日、18日に開催する予定です。詳しくは追ってご案内をさしあげますが、「会員相互の交流、情報交換」の機会を復活させたいと、万全の配慮で準備を進めております。テーマは日本記号学会40年の歴史を踏まえ、「記号の学」の現代的可能性とともに、参加いただく皆さんに学会の意義について積極的にご発言いただく場となるよう考えております。ご期待ください。それとともに、同時に開催される総会においては会則を含む、学会の仕組みについて、いくつか見直し、改訂をお諮りすることなろうかと存じます。
前会長のご努力で執行部の体制も大幅に若返りました。感染症や戦争など、世界の不透明さは未だ深刻なレベルにありますが、学術はそれと正面から向き合うパワーを持たねばならないと思っています。そのためにできる限りのことをしてまいる所存です。ご意見ご希望、叱咤など忌憚なくお寄せいただけますよう、お願いいたします。
水島 久光 (東海大学)