「情報技術とプラグマティズム」研究会・オンラインセッション
「リアルタイムの記号論:テクノロジーの〈未完了相〉をめぐって」
日時:2026年5月19日(火) 19:00 – 21:00[予定]
開催形態:オンラインセッション(Zoom予定)
参加方法:(⇒文末)
報告者:
小林茂(情報科学芸術大学院大学[IAMAS])
司会・問題提起:
谷島貫太(二松学舎大学)
概要:
私たちの日常的な経験のなかで、知覚・認知・コミュニケーションの中心にあるのは、まだ何も決まっていない、出来事がまさに進行しつつあるリアルタイムの局面です。ところが記号論は、こうしたリアルタイムの次元を十分に扱う理論的道具立てをもってきませんでした。言語学における〈未完了相(imperfective aspect)〉——まだ閉じていない、進行中の出来事を表す文法カテゴリー——になぞらえれば、記号論はもっぱら〈完結/完了相〉の次元を分析してきたといえます。本セッションはこの問いを出発点とします。
本セッションでは、小林茂さんの近著『テクノロジーって何だろう?――〈未完了相〉で出会い直すための手引き』(2025年)を手掛かりに、〈未完了相〉の問題とテクノロジーの関係を正面から問います。
小林さんは同書で、テクノロジーを「すでに完成した道具や仕組み」として捉えることを根本から問い直します。私たちがテクノロジーと出会うとき——新しい道具を手にするとき、慣れない環境に置かれるとき——その局面はつねに〈未完了相〉の只中にあります。習慣化された応答がまだ形成されておらず、何をどうすべきかが決まっていない、この未決定の時間的プロセスにこそ、テクノロジーとの関係の本質があるというのが小林さんの視点です。逆にいえば、テクノロジーとの付き合いが習慣として完全に定着してしまった後には、そこにテクノロジーの問題を見出すことが難しくなる。テクノロジーの問題は、完了した状態の分析からではなく、進行中の、まだ揺れ動いている局面から照射されなければならない、ということになります。
こうした問題意識は、パース記号論の再解釈とも深く交差します。習慣化された応答が機能する状況と、習慣では対処しきれない判断が迫られる局面——この区別のなかに、リアルタイムを扱う記号論の手掛かりが潜んでいます。本セッションでは小林さんの報告を起点として、テクノロジーの〈未完了相〉という問いが記号論にとって何を意味するのかを、異なる角度からの問題提起を交えながら探ります。
なお本セッションは、2026年7月11日(土)、12日(日)に二松学舎大学で開催される 日本記号学会第46回大会「パース記号論のフロンティア」 ——その大会セッション②「生活と道具の記号論」に小林さんが登壇予定—— の事前セッションとして位置づけられています。大会での議論をより実りあるものにするための助走的な場として、また同書や大会テーマへの入口として、幅広いオーディエンスのご参加をお待ちしています。
参加方法:
https://forms.gle/uwZDMPD3cmKiNRqJ8
日本記号学会:情報技術とプラグマティズム研究会
(共同幹事:加藤隆文・谷島貫太・椋本輔)
